Physical AI レーダー:全項目に証拠レベルを付けた身体性AIの朝刊

身体性AIの動向を毎日最大 8 件選び、8 レーンに分類して O/R/M の証拠レベルを付ける朝刊。ルールは公開され、標準ライブラリだけで再現できます。

Physical AI レーダーは、自動生成される身体性AIの朝刊です。毎日 arXiv、企業ブログ、業界メディアから最大 8 件を選んで 8 つのレーン(テーマ別の分類軸)に振り分け、各項目に証拠レベル(公式の一次情報、論文プレプリント、メディアの二次情報)を付けます。解決したい問題は単純です。企業の自己申告、査読を経ていないプレプリント、二次報道は同じ情報の流れの中で読まれることが多く、数字も文脈から切り離されて伝えられがちです。レーダーはこれらの情報源を区別して表示し、数字は原文どおりに引用します。並べ替えのルールはすべてリポジトリに書かれており、オフラインで再実行できます。

毎日何をしているか

公開時刻は毎日 07:40(Asia/Singapore。前日の 23:40 UTC)で、メンテナーのマシン上の定期ジョブが scripts/publish_daily.sh を実行します。パイプラインは次の段階に分かれています。

  • fetch:arXiv API への 6 組の cs.RO クエリ(API が使えないときはカテゴリの RSS を読みます)に加えて、10 の公式・メディアの情報源を読みます。AWS、NVIDIA(Technical Blog と Blog)、Google DeepMind、Hugging Face、Toyota Research Institute、IEEE Spectrum Robotics、The Robot Report、雷峰网(Leiphone。中国のテクノロジーメディア)、MONOist です。読むのは公開されている機械可読のエンドポイント(Atom / RSS / ドキュメント化された API)だけで、本文はスクレイピングせず、ペイウォールも回避しません。
  • distill:関連性のしきい値、レーンへの分類、数字の抽出、説明可能なスコアリング、件数上限による絞り込み。
  • render / feeds / site:中・英・日の 3 言語の日報、3 つの README のレーダー欄、週報、Atom と JSON Feed、radar/latest.json、GitHub Pages のランディングページを生成します。
  • commit:ワークツリーに実際の変更があるときだけコミットします。

「最大 8 件」は上限であってノルマではありません。2026-09-28 の号で公開されたのは 4 件([R] 3 件、[M] 1 件)だけでした。

分類とスコアリング:すべて読めばわかるルール

8 つのレーンは data/taxonomy.json で定義されています。基盤モデル(VLA / WAM)、データエンジン、学習と自己改善、シミュレーションと評価、エッジとリアルタイム性、安全・権限・コンプライアンス、システムとオーケストレーション、ロボット本体とサプライチェーンです。各レーンにはキーワードのセットと重み(0.95〜1.15)があります。分類はタイトルと要旨に対する単語単位の一致で行うため、ppo が “support” の中でヒットしたり、thor が “author” の中でヒットしたりすることはありません。スコア(ヒット数 × レーンの重み)が最も高いレーンが選ばれます。総合的なブログやロボット専門ではない情報源からの項目は、さらにアンカー語(robot、humanoid、VLA、world model、ROS 2 など計 85 語)のいずれかに 1 つ以上ヒットしなければ、その時点で除外されます。

スコアの計算式は docs/METHODOLOGY.md に書かれています。

score = min(lane_hits, 6) × 0.35 × lane_weight
      + evidence_bonus        # O 0.60 · R 0.35 · M 0.10
      + Σ signal_bonus        # closed_loop 0.50 · real_robot 0.40 · numbers 0.30
                              # open_release 0.25 · latency 0.20
      + recency_bonus         # 当日 1.0 · 1 日前 0.8 · ≤3 日 0.5 · ≤7 日 0.25
      + (source_weight − 1.0)

絞り込みの制約は、最低スコア 0.9、レーンごとに最大 2 件、全体で最大 8 件です。さらにソフトな上限として、情報源ごとに 3 件、証拠レベルごとに 4 件があります。1 回目の選定ではすべての上限を守り、2 回目はレーンの上限だけに従って空きを埋めます。30 日以内に掲載したリンクは再び選ばれません(URL は正規化し、arXiv のリンクはバージョン番号を除いて比較します)。同じ話題の重複除去もあり、企業の元の投稿とメディアの転載が同じ出来事を扱っている場合は、順位の高いほうだけを残します。リポジトリには、これが意図的な偏りであることが明記されています。実機または閉ループの証拠がある項目を、ベンチマークのスコアを伸ばしただけの項目より上位に置くというものです。

数字は引用するだけで、計算し直さない

distill.extract_numbers は、パーセンテージ、倍率、ms / Hz / fps、パラメータ数、時間数とデモの件数、GB / W / kg / DoF などを抽出します。各項目に表示するのは最大 4 個で、原文の前後数語(distill.number_context)を添え、その数字が何を測ったものかを読者が自分で判断できるようにしています。コードが近くの単語から指標名を推測することはありません。方法論に挙げられている例は “raises success rate and tracking accuracy by at least 24% and 47%” で、24% に最も近い指標名はちょうど誤ったほうです。原文の数字が間違っていればレーダーも同じように間違えるため、各項目には元記事へのリンクを付けています。

翻訳の方針も固定されています。タイトルは翻訳しません。英語の要旨は引用ブロックとして表示します。パイプライン全体で機械翻訳は使いません。「なぜ重要か」の 1 行には 3 つの出どころがあり、優先順位は人によるキュレーション、エージェントによる下書き、テンプレートによる組み立ての順です。エージェントが下書きした行には 1 行ずつその旨が表示され、ページには下書きに使ったエージェントとモデルが明記されます。その中の数字は当日のページにすでに出ているものでなければならず、下書きに関わっていない別のモデルが検証します。決定的なチェックにすべて通れば自動でマージされ、事前に人がレビューすることはありません。ページにもそのことがそのまま書かれています。下書き用と検証用のエージェントは read、grep、glob の権限しか持たず、シェルの実行もネットワーク接続もできません。

使い方

フィードとデータはどれも GitHub Pages 上の静的ファイルで、アカウントもキーも不要です。

R=https://noteflowai.github.io/physical-ai-radar/radar
# 今日選ばれた項目:証拠レベル、レーン、タイトル
curl -s $R/latest.json | jq -r '.picked[] | "[\(.evidence)] \(.lane)\t\(.title)"'
# 検証できる数字を含む項目だけを表示
curl -s $R/latest.json | jq -r '.picked[] | select(.numbers | length > 0) | "\(.numbers | join(", "))\t\(.title)"'

latest.json には fetch ブロックもあり、その日に取得を試みた情報源と応答に成功した情報源、情報源ごとの項目数、応答しなかった情報源が記録されています。たとえば 2026-09-28 の号では、11 の情報源がすべて応答し、arXiv はカテゴリ RSS へのフォールバックで取得され、候補は合計 433 件でした。python3 -m pairadar.health は、直近 14 日間の記録から失敗が続いている情報源を判定します。

ローカルでの再現に必要なのは Python 3.10 以降だけで、pip install は不要です。

git clone https://github.com/noteflowai/physical-ai-radar.git
cd physical-ai-radar
python3 -m pairadar --offline --out /tmp/radar   # ネットワークに接続せず、出力は別の場所に書き出す
python3 -m pairadar                             # 当日の内容をネットワークから取得(リポジトリをその場で書き換える)
python3 -m unittest discover -s tests

--out を付けずに実行すると、README、radar/、assets/ がその場で書き換えられます。先に出力を確認したい場合は --out を付けてください。

制約と注意点

  • 要旨は抽出型なので、論文の本当の貢献を取りこぼすことがあります。レーンやシグナルのラベルは一次選別のためのもので、原文を読む代わりにはなりません。
  • レーンへの分類はキーワード頼みなので、分野をまたぐ研究は誤って分類されます。python3 -m pairadar.lanes は、単一のキーワードだけで分類された項目(thin)や、次点のレーンとのスコア差が小さすぎる項目(ambiguous)に印を付けます。つまり、誤分類は発見できますが、防ぐことはできません。
  • [M] の項目は、出荷台数や市場規模の数字が互いに食い違うことがよくあります。[R] の数字は著者の自己申告です。[O] でも、「プラットフォームとして利用可能」と「顧客が導入済み」は区別する必要があります。
  • 標準規格や法規制の項目は状況と日付を報告するだけで、いかなる安全性の論証にもなりません。
  • ステータス:コードはバージョン単位でリリースされており、CHANGELOG の最新は 1.2.0(2026-09-27)です。コードは MIT ライセンス、コンテンツは CC BY 4.0 です。Robot Reel とレーダーは同じ作者グループが保守しているため、レーダーのキュレーションの基準では自分たちのプロジェクトを取り上げません。

リンク